脱炭素化と電力業界(3) 再生可能エネルギーの進展が促す電力業界の構造変化
2016年4月に電力小売りが自由化されて以来、600社以上に上る「新電力」と呼ばれる電力小売り事業者が生まれてきました。
ただ、ほとんどの新電力は発電所を持たず「日本卸電力取引所(JEPX)」から電力を調達しており、卸売価格に左右される収益構造となっています。
2021年の1月、そうした収益構造の脆弱さを露呈した事態が起きました。寒波の襲来と火力発電の燃料となるLNGの供給不足が重なり、電力の需給がひっ迫して卸価格が跳ね上がったのです。

その結果、多くの新電力事業者は小売価格と仕入れ価格の逆ザヤによる赤字が拡大し、低価格で販売量を拡大してきた新電力大手の株式会社F-Powerが、3月に会社更生法の適用を受けるという事態にもなりました。
こうした事態は今後も起きうると考えられ、電力調達を卸売市場に依存する形態の電力小売り事業の限界も指摘されています。
そうした中で、電力事業への新規参入事業者として最も注目を集めているのがNTTの100%子会社「NTTアノードエナジー株式会社」です。
報道機関各社によれば、同社は巨大な太陽光発電や洋上風力発電設備を整え、全国に7000以上ある電話局に蓄電池を配備することで2030年までに750万kWの再生可能エネルギー発電力を確保すると共に、自前の発送電網を整備して顧客に直販する計画とのことです。
既存の送配電網は大手電力会社による火力など安定的な発電による電力が優先されるため、それが再生可能エネルギー普及のネックにもなってきました。
政府は洋上風力発電の飛躍的増強のために新たな地域間送電網の構築を計画していますが、自前の発送電網を構築するNTTアノードエナジー社の新規参入も、これまでの電力業界の構造を大きく変えるインパクトがあると言えます。
さらに政府が再生可能エネルギーの切り札と位置付ける洋上風力発電プロジェクトは政府の公募によるコンペを勝ち抜く必要があり、そこでは徹底したコスト管理を含むプロジェクトマネジメント能力が鍵となります。
一方、大手電力会社は総括原価方式の下でコスト意識などが希薄と言われており、総合商社などと伍していくにはプロジェクトマネジメント能力の向上が急務となっています。
そうした中、東電グループと中電の合弁会社である株式会社JERAが、台湾の風力発電プロジェクトに参入してノウハウの取得を進めるといった取り組みも見られます。
世界的な脱炭素化は、電力業界の従来の競争ルールを一変させ、有力な新規参入者も生み出しつつあります。従来の地域独占や総括原価方式の下で安定的な事業運営を行ってきた日本の電力業界がそうした劇的な環境変化を乗り越えていくためには、株式会社JERAに見られるような企業間連携や、場合によっては業界の再編も含めた大胆な自己変革の必要性も指摘されています。
――――― 業界研究ニュース ―――――
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ただ、ほとんどの新電力は発電所を持たず「日本卸電力取引所(JEPX)」から電力を調達しており、卸売価格に左右される収益構造となっています。
2021年の1月、そうした収益構造の脆弱さを露呈した事態が起きました。寒波の襲来と火力発電の燃料となるLNGの供給不足が重なり、電力の需給がひっ迫して卸価格が跳ね上がったのです。

その結果、多くの新電力事業者は小売価格と仕入れ価格の逆ザヤによる赤字が拡大し、低価格で販売量を拡大してきた新電力大手の株式会社F-Powerが、3月に会社更生法の適用を受けるという事態にもなりました。
こうした事態は今後も起きうると考えられ、電力調達を卸売市場に依存する形態の電力小売り事業の限界も指摘されています。
そうした中で、電力事業への新規参入事業者として最も注目を集めているのがNTTの100%子会社「NTTアノードエナジー株式会社」です。
報道機関各社によれば、同社は巨大な太陽光発電や洋上風力発電設備を整え、全国に7000以上ある電話局に蓄電池を配備することで2030年までに750万kWの再生可能エネルギー発電力を確保すると共に、自前の発送電網を整備して顧客に直販する計画とのことです。
既存の送配電網は大手電力会社による火力など安定的な発電による電力が優先されるため、それが再生可能エネルギー普及のネックにもなってきました。
政府は洋上風力発電の飛躍的増強のために新たな地域間送電網の構築を計画していますが、自前の発送電網を構築するNTTアノードエナジー社の新規参入も、これまでの電力業界の構造を大きく変えるインパクトがあると言えます。
さらに政府が再生可能エネルギーの切り札と位置付ける洋上風力発電プロジェクトは政府の公募によるコンペを勝ち抜く必要があり、そこでは徹底したコスト管理を含むプロジェクトマネジメント能力が鍵となります。
一方、大手電力会社は総括原価方式の下でコスト意識などが希薄と言われており、総合商社などと伍していくにはプロジェクトマネジメント能力の向上が急務となっています。
そうした中、東電グループと中電の合弁会社である株式会社JERAが、台湾の風力発電プロジェクトに参入してノウハウの取得を進めるといった取り組みも見られます。
世界的な脱炭素化は、電力業界の従来の競争ルールを一変させ、有力な新規参入者も生み出しつつあります。従来の地域独占や総括原価方式の下で安定的な事業運営を行ってきた日本の電力業界がそうした劇的な環境変化を乗り越えていくためには、株式会社JERAに見られるような企業間連携や、場合によっては業界の再編も含めた大胆な自己変革の必要性も指摘されています。
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