アフター・コロナの旅行業界/ OTAへの不可逆的移行と伝統的旅行会社の競争力
株式会社JTBが発表した2021年3月期の連結決算は、売上高が対前年比71.1%減の3,721億1200万円、最終損益が▲1,051億5900万円となりました。
他にも旅行大手各社の直近連結決算を見ると、HISの売上高が対前年比46.8%減の4,302億8400万円、最終損益が▲250億3700万円、KNT-CTホールディングスの売上高が対前年比77.2%減の878億8900万円、最終損益が▲284億5600万円、日本旅行の売上高が56.7%減の237億800万円、最終損益が▲127億9100万円と軒並み大幅な減収、大幅な赤字となっています。

こうした各社の決算結果は、コロナ禍による世界的な旅行需要の大規模な減少によるものであることは間違いありません。ただ、店舗での接客や学校・職域旅行を事業の柱にしてきた伝統的旅行会社(TTA: Traditional Travel Agent)は、コロナ禍前からネット専業のOTA(Online Travel Agent)にシェアを奪われ続けていました。
コロナ禍はOTAからもTTAからも等しく需要を奪い去りましたが、店舗や多くの人員を抱えるTTAは固定費が多い分、最終損益での赤字が拡大する結果となりました。
みずほ銀行の調査によれば、世界の旅行市場でのシェアは2016年にOTAがTTAを上回って以来その差は拡大しており、2018年には世界市場の約58%をOTAが占めるまでになっています。また日本国内を見ても、OTA 市場規模は2018年には約 2 兆 5,520 億円に達しています。
TTA各社も従来の事業構造の改革に取り組む姿勢を明確にしており、JTBでは21年度までに国内店舗の25%を統廃合すると発表しています。またHISも国内で約100店舗を統廃合し、KNT-CTホールディングスも国内店舗を1/3に縮小、日本旅行もグループ全体で店舗を半減する方針を明らかにしています。
イギリスでも老舗の世界的TTAである「トーマス・クック」が2019年に業績悪化で破産し、2020年からOTAとして経営再建に取り組んでいますが、日本の大手TTA各社もDX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組んでコロナ・ショク後の旅行市場での復権を目指しています。
ただ、世界のOTA市場で2強と言われているExpedia GroupとBooking Holdingsは既に日本でも海外旅行では存在感を示しており、国内勢ではリクルートグループの「じゃらん」や楽天トラベル、YahooトラベルなどITプラットフォーマー系のOTAが高いシェアを誇っています。
またOTAの業務内容も「ガイド付きパッケージツアー」などにも対応してきており、TTAと遜色のない幅広いサービス提供が可能になってきています。
こうした点から、大手TTAと言えどもオンライン機能の強化・拡充を推し進めるだけでは既存のOTAに対抗するのは困難だという見方が少なくありません。
一方、国内大手TTAには長い事業展開の中で世界的に張り巡らされた現地サプライヤーとの信頼関係という資産があります。そして、それに基づくきめ細かなサービスを実現できるノウハウの蓄積もあります。
旅行は現地での「リアルな体験」こそが価値であり、利用者のニーズを的確に捉えてそうした価値を提供できる力こそが、旅行事業における競争力の源泉です。
そうした意味では国内の大手TTAは、そうした競争力の面ではOTAを十分凌いでおり、その強みとデジタルによる利便性を組み合わせることで、アフター・コロナ時代の旅行業界で復権を果たせる可能性も十分あります。
ただ、新卒採用という点に関しては、冒頭に挙げた国内大手TTA各社とも、店舗の統廃合と共に従業員数の大幅な削減方針を打ち出しており、アフター・コロナの旅行市場で業績回復を実現しても、かつてのような規模での新卒採用は期待できないかもしれません。
――――― 業界研究ニュース ―――――
大学1年生・2年生からの就活準備サイト
就活 WINavi(ウイナビ)
他にも旅行大手各社の直近連結決算を見ると、HISの売上高が対前年比46.8%減の4,302億8400万円、最終損益が▲250億3700万円、KNT-CTホールディングスの売上高が対前年比77.2%減の878億8900万円、最終損益が▲284億5600万円、日本旅行の売上高が56.7%減の237億800万円、最終損益が▲127億9100万円と軒並み大幅な減収、大幅な赤字となっています。

こうした各社の決算結果は、コロナ禍による世界的な旅行需要の大規模な減少によるものであることは間違いありません。ただ、店舗での接客や学校・職域旅行を事業の柱にしてきた伝統的旅行会社(TTA: Traditional Travel Agent)は、コロナ禍前からネット専業のOTA(Online Travel Agent)にシェアを奪われ続けていました。
コロナ禍はOTAからもTTAからも等しく需要を奪い去りましたが、店舗や多くの人員を抱えるTTAは固定費が多い分、最終損益での赤字が拡大する結果となりました。
みずほ銀行の調査によれば、世界の旅行市場でのシェアは2016年にOTAがTTAを上回って以来その差は拡大しており、2018年には世界市場の約58%をOTAが占めるまでになっています。また日本国内を見ても、OTA 市場規模は2018年には約 2 兆 5,520 億円に達しています。
TTA各社も従来の事業構造の改革に取り組む姿勢を明確にしており、JTBでは21年度までに国内店舗の25%を統廃合すると発表しています。またHISも国内で約100店舗を統廃合し、KNT-CTホールディングスも国内店舗を1/3に縮小、日本旅行もグループ全体で店舗を半減する方針を明らかにしています。
イギリスでも老舗の世界的TTAである「トーマス・クック」が2019年に業績悪化で破産し、2020年からOTAとして経営再建に取り組んでいますが、日本の大手TTA各社もDX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組んでコロナ・ショク後の旅行市場での復権を目指しています。
ただ、世界のOTA市場で2強と言われているExpedia GroupとBooking Holdingsは既に日本でも海外旅行では存在感を示しており、国内勢ではリクルートグループの「じゃらん」や楽天トラベル、YahooトラベルなどITプラットフォーマー系のOTAが高いシェアを誇っています。
またOTAの業務内容も「ガイド付きパッケージツアー」などにも対応してきており、TTAと遜色のない幅広いサービス提供が可能になってきています。
こうした点から、大手TTAと言えどもオンライン機能の強化・拡充を推し進めるだけでは既存のOTAに対抗するのは困難だという見方が少なくありません。
一方、国内大手TTAには長い事業展開の中で世界的に張り巡らされた現地サプライヤーとの信頼関係という資産があります。そして、それに基づくきめ細かなサービスを実現できるノウハウの蓄積もあります。
旅行は現地での「リアルな体験」こそが価値であり、利用者のニーズを的確に捉えてそうした価値を提供できる力こそが、旅行事業における競争力の源泉です。
そうした意味では国内の大手TTAは、そうした競争力の面ではOTAを十分凌いでおり、その強みとデジタルによる利便性を組み合わせることで、アフター・コロナ時代の旅行業界で復権を果たせる可能性も十分あります。
ただ、新卒採用という点に関しては、冒頭に挙げた国内大手TTA各社とも、店舗の統廃合と共に従業員数の大幅な削減方針を打ち出しており、アフター・コロナの旅行市場で業績回復を実現しても、かつてのような規模での新卒採用は期待できないかもしれません。
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