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脱炭素化と素材産業(3) 鉄鋼業における脱炭素化の課題

鉄鋼業の二酸化炭素排出量は製造業の中でも最も多く、日本全体の14%を占めています。日本政府が掲げた2030年度時点での温室効果ガス排出削減目標(2013年度比46%減)を達成するためには、鉄鋼業におけるCO2排出の大幅な削減が不可欠です。

鉄鉱石を還元して鉄を作る「高炉」では、1トンの鉄を作るのに約2トンのCO2を排出すると言われています。これほど大量のCO2を排出するのは、石炭から作られたコークスを熱源としてだけでなく鉄鉱石の還元材としても利用することで、製鉄プロセス自体からも大量のCO2が発生するためです。


従って鉄鋼業におけるCO2の削減には、製鉄方法自体をCO2排出量の少ない方法に変える必要があり、そのことが他の製造業よりもCO2の排出削減を困難にしています。

CO2排出量の少ない製鉄方法への転換には2つの方向性があり、ひとつは電炉化です。電炉とは原料の鉄スクラップを電気によって熱して溶かし、成分を調整しながら鉄鋼を生産するものです。

電炉も現状では使用する電気の発電時に化石燃料が使われるため「電気由来」のCO2を排出することになりますが、その排出量は高炉の1/4程度であり、今後は再生可能エネルギーによる電気を使えばCO2フリーの製鉄法も視野に入ってきます。

電炉では日本の鉄鋼メーカーが得意とする高級鋼材の製造が難しい点が課題となります。また生産性を上げるためには電炉の大型化が必要であり、CO2フリーを実現するにはコスト競争力のあるカーボンフリー電力も必要になります。

こうした課題はあるものの鉄鋼業のCO2排出削減は待ったなしの状況であり、国内鉄鋼メーカー最大手の日本製鉄では2030年の実用化を目指して、高級鋼材の製造も可能な大型電炉を開発する方針を掲げています。

もうひとつのカーボンニュートラル製鉄法として挙げられているのが「100%水素直接還元製鉄法」です。

水素を活用した製鉄法では、政府系研究機関と高炉大手3社が共同で従来の炭素還元と水素還元を併用してCO2の排出を抑える実証プラントを稼働中で、2030年までに製鉄過程で排出するCO2を30%削減する技術の実用化を進めています。

ただ、100%水素直接還元製鉄法にはさらなる技術的なブレークスルーが必要となり、新製法の実現には1社あたり4~5兆円の設備投資が必要という試算もあります。また、技術的な課題が解決されても新製法による製品が価格競争力を持つためには、極めて安価なカーボンフリー水素も必要になります。

そうはいってもヨーロッパや中国の大手鉄鋼メーカーもカーボンニュートラル製鉄への取り組みを積極的に進めており、この分野での勝敗がそのまま脱炭素化時代における世界の鉄鋼業界の勢力図を決定づけることを考えれば、日本も官民挙げて必死に取り組むしか道はありません。

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