地銀をめぐる環境変化が進む/ 地域総合サービス企業化を目指す流れ
地銀の経営基盤強化を目指した政府・日銀の支援策が実行段階を迎えています。金融庁は地銀の経営統合や合併に伴う店舗の統廃合・システム改修にかかる費用を補う制度を発足させましたが、その適用第一号として10月1日に福井銀行の子会社となった福邦銀行への資金交付が決まりました。
また、日銀は地銀に対して「収益力向上・経費削減」または「合併・連結子会社化」によって所定の経費改善を達成すれば日銀の当座預金金利を上乗せする制度を開始していますが、その適用対象となる地銀が8割に上るという推計も出されています。
一方、そうしたいわば「アメ」に相当するような施策に併せて、「ムチ」とも呼べるような施策も進められています。
それが金融機関の国際的な自己資本規制の適用基準見直しです。リーマンショック後、主要国の銀行監督当局は、世界的な金融危機の再発を防ぐために金融機関の自己資本に関する国際規制(バーゼル3)を策定しました。
従来、こうした国際規制によって金融機関はリスク資産に対して自己資本の比率を一定以上に保つことが必要とされています。
今回は、そのリスク資産の評価を見直すもので、株式などの資産に対しては必要な資産の比率を高め、一方で中堅・中小企業向けの融資に対しては必要とする資産の比率を下げることによって、株価急落時に金融機関が多額の損失を負うことで中堅・中小企業への融資打ち切り(いわゆる「貸しはがし」)を防ごうという目的があります。
このリスク資産の評価見直しはメガバンクだけでなく地銀も対象とされており、メガバンクは2023年3月から、地銀は2024年3月から適用されると発表されています。
こうした政府・日銀による地銀に対する一連の法改正や施策の締めくくりとなるのが、2021年11月に施行される予定の改正銀行法による銀行による異業種参入制限の大幅な緩和です。
現行法では銀行による事業会社への出資は原則5%までに制限されており、持ち株会社による場合でも15%までとなっています。これが改正銀行法では、持ち株会社の下で銀行の兄弟会社として事業を営む場合は、システムやアプリの開発・販売、登録型人材派遣、見守りサービス、顧客データを活用したマーケティング、広告業務など、広範なサービスを事業として営むことが可能となります。
地銀各行では、こうした銀行法の改正を踏まえて持ち株会社の動きが活発化しています。これまでは政府・日銀が推し進める地銀統合化の動きの中で、経営統合のために持ち株会社を設立するというのが主流でしたが、最近では10月1日に持ち株会社を設立した北国銀行、沖縄銀行、十六銀行などのように経営統合なしに単独で持ち株会社化を進める地銀が目立ち始めました。
これら各行は銀行法改正後には兄弟会社として各種の企業サービスビジネスを本格的に展開していくことが予想され、いわば金融機関を中核にした「地域総合サービス企業」への変身を目指しているものと考えられます。
改正銀行法の下、メガバンクももちろん事業の多角化を進めていくと考えられますが、そうした新たな事業展開が生き残りを賭けた取り組みとなるという意味で、地銀にとってはより深刻な取り組みであると言えます。
今後、就職先として地方金融機関を検討する際には、こうした地銀の方向性を踏まえた上で、自らのキャリア展開や仕事のやりがいなどを考えてみることが重要になると考えられます。
――――― 業界研究ニュース ―――――
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また、日銀は地銀に対して「収益力向上・経費削減」または「合併・連結子会社化」によって所定の経費改善を達成すれば日銀の当座預金金利を上乗せする制度を開始していますが、その適用対象となる地銀が8割に上るという推計も出されています。
一方、そうしたいわば「アメ」に相当するような施策に併せて、「ムチ」とも呼べるような施策も進められています。
それが金融機関の国際的な自己資本規制の適用基準見直しです。リーマンショック後、主要国の銀行監督当局は、世界的な金融危機の再発を防ぐために金融機関の自己資本に関する国際規制(バーゼル3)を策定しました。
従来、こうした国際規制によって金融機関はリスク資産に対して自己資本の比率を一定以上に保つことが必要とされています。
今回は、そのリスク資産の評価を見直すもので、株式などの資産に対しては必要な資産の比率を高め、一方で中堅・中小企業向けの融資に対しては必要とする資産の比率を下げることによって、株価急落時に金融機関が多額の損失を負うことで中堅・中小企業への融資打ち切り(いわゆる「貸しはがし」)を防ごうという目的があります。
このリスク資産の評価見直しはメガバンクだけでなく地銀も対象とされており、メガバンクは2023年3月から、地銀は2024年3月から適用されると発表されています。
こうした政府・日銀による地銀に対する一連の法改正や施策の締めくくりとなるのが、2021年11月に施行される予定の改正銀行法による銀行による異業種参入制限の大幅な緩和です。
現行法では銀行による事業会社への出資は原則5%までに制限されており、持ち株会社による場合でも15%までとなっています。これが改正銀行法では、持ち株会社の下で銀行の兄弟会社として事業を営む場合は、システムやアプリの開発・販売、登録型人材派遣、見守りサービス、顧客データを活用したマーケティング、広告業務など、広範なサービスを事業として営むことが可能となります。
地銀各行では、こうした銀行法の改正を踏まえて持ち株会社の動きが活発化しています。これまでは政府・日銀が推し進める地銀統合化の動きの中で、経営統合のために持ち株会社を設立するというのが主流でしたが、最近では10月1日に持ち株会社を設立した北国銀行、沖縄銀行、十六銀行などのように経営統合なしに単独で持ち株会社化を進める地銀が目立ち始めました。
これら各行は銀行法改正後には兄弟会社として各種の企業サービスビジネスを本格的に展開していくことが予想され、いわば金融機関を中核にした「地域総合サービス企業」への変身を目指しているものと考えられます。
改正銀行法の下、メガバンクももちろん事業の多角化を進めていくと考えられますが、そうした新たな事業展開が生き残りを賭けた取り組みとなるという意味で、地銀にとってはより深刻な取り組みであると言えます。
今後、就職先として地方金融機関を検討する際には、こうした地銀の方向性を踏まえた上で、自らのキャリア展開や仕事のやりがいなどを考えてみることが重要になると考えられます。
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